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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.777:現代の放鷹術(ほうようじゅつ)
 
2014年6月14日分

産業活動の発展と嗜好の変化から、今では忘れられた生活様式がある。新しい製品が普及
し、主役の地位を変えることもある。世の中は有為転変、定まらない▼かってLP盤やSP盤な
どのレコード盤は、音楽を楽しむには欠かせなかった。だがCDにすっかり駆逐されてしまう。
レコードを聴こうにも、プレーヤー自体が無くなっている。屋外レジャーも変わった。今はゴルフ
であり、サッカーである。ワールドカップ観戦のためなら海外へ飛び立つのもいとわない▼古
来、日本には鷹(タカ)を使ってのレジャーがあった。上級武士は鷹を訓練して、野鳥やウサギ
などの小動物を捕らえたのである。いわゆる「放鷹術(ほうようじゅつ)」は、江戸時代までは普
通に行われたレジャーであった。鷹を駆使する鷹匠は、今でいうアスリートに他ならない。その
妙技に惜しみない賞賛が集まった。だが、その鷹匠の役割もレコード盤と同じようになった。使
い道があまりない技術になった。どうしたらよいのか。滅びるに任せるしかないのか。わずかに
残った鷹匠10人(諏訪流)に悩みが深い▼そこに目を付けたのが某コンサルタント会社社長で
ある。鳩(ハト)の糞害防止に鷹を使うことにした。マンションが立ち並ぶ都会に鷹を放った。週
2回、3ヶ月の放鷹で、周辺から鳩は姿を消したという。鷹は鳩を追うだけで捉えることはしな
い。それでも自然の摂理はうまくできている▼古来の技法が現代によみがえって新たな注文が
ひきもきらぬという。まさに「飛ぶ鳥も落とす勢い」である。(とけいそう)

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