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悠久録
No.894
(11月3日分)
びっくりした。合唱のためステージに上がった高校生35人が全員サングラスをしていた。そして
尾崎豊の『15の夜』を歌った。サングラスの演出が効いたこともあり、聴衆を沸かせた。技量も なかなかの水準だった▼沖縄県立宮古高校の合唱祭でのことである。35人の1人が子宮頸 (けい)がんワクチンの副作用でサングラスが手放せないという。光を強く感じすぎるのである。 彼女はステージに上がるときもサングラスが欠かせない。35人の仲間のなかで1人だけ異質な 存在である▼だが、クラスメートが提案する。一緒に舞台に立つために、全員でサングラスをし よう。そして男子生徒の1人が、尾崎豊のパーフォマンスを真似た。35個のサングラスに磨き をかけたのである。「1人だけサングラスは嫌ではないだろうか」との思いやりが、合唱祭を盛 り上げた▼担任の女性教諭は学内で事情説明をしただけとし、「女子生徒を練習に誘ったの も、サングラスをつけようと動いたのも、ぜんぶ生徒たち」という。1人だけの異質さはイジメの 原因にもなりかねない。しかし生徒たちの思いやりがカバーした。いじめを苦に自殺する若者 も少なくない昨今、清々しい話である▼沖縄が揺れている。国と県の対立が先鋭化してきた。 その一方で中国と米国の動きも緊迫した。駐留米軍の動きが気がかりである。現実社会はと げとげしさをむき出し、漠然とした不安が広がっている▼それでも友を思う高校生の行動は、 「おかげで一つになれた。最高のクラスになったね」とたくましい。(とけいそう)
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