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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.889:醍醐寺

世界遺産の醍醐寺(京都市伏見区)宝物展を観た。戦乱や失火もあったであろうが、今に残る
数々の名品は無言の迫力だった▼同寺は真言宗醍醐派の総本山で、平安時代に聖坊(しょう
ぼう、832〜909)が創建した。聖坊は天智天皇6世の孫で空海の孫弟子。真言宗小野流の
祖であり、後に当山派修験道の祖とされる。1000年以上の昔に生きた人物の事績が、詳細
にわかるのは驚きである。それだけ重みがある古刹である▼同寺は笠取山の麓から山頂ま
で、広大な寺域をもち、上醍醐、下醍醐に区分できる。その下醍醐には三宝院(さんぽういん)
がある。同院が同寺の中核とも言うべき存在で、同寺座主の個人的な寺院でもあった。同院
の開祖は勝覚(しょうかく、1057〜1129)。白河天皇が寵愛した中宮賢子の従妹である▼同
寺が保有する文献資料は約800の箱に格納して、1000年の星霜を潜り抜けてきた。内約7
万点が国宝「醍醐寺文書聖教」(2013年指定)である。さらに仏像や書画等の宝物は、国宝、
重要文化財で7万5941点にのぼる。同展は、えりすぐりの逸品約90点を展示する▼醍醐寺
は桜の名所としても知られる。1598年、天下を掌握した豊臣秀吉は諸国大名に呼びかけ、
観桜会を催した。近在の老桜700本を移植した賑々しい花見の宴は「醍醐の花見」として歴史
に名を残す。秀吉はこの日のために伽藍の修復に惜しみない援助を与え、その子秀頼も支援
を続けた▼多くの文化財が残った背景には人智を超えた敬虔さに満ちている。(とけいそう)



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