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本紙連載の『小説三島億二郎伝』は、著者の稲川明雄さんの筆がますます冴えて、物語の展
開に引き込まれる。今は銘菓『越乃雪』が物語の中心になっている▼戊辰戦争で全てを失った 長岡であった。だが日本三大銘菓と讃えられた『越乃雪』は幸いにも、焼失を免れていた。『越 乃雪』は藩主や藩士の参勤交代の贈答品として盛んに使われていた。江戸や上方、さらには 蝦夷地(北海道)にまで広く知られていた▼来攻した官軍の指揮官はもちろん、その後の明治 天皇巡幸でも岩倉具視、大隈重信などの顕官は我先に「越乃雪」を求めたという。以前から全 国に著名だった。著者の稲川さんは「人は平和になったから甘いものや酒を欲しがっている」。 だから「長岡には、そういった特産品をつくって、他人を和ませる産業を興さねばならぬ」と、億 二郎に語らせている▼小説では、河井継之助の遺族の長岡帰郷(釈放)を願って、藩は杉箱 に入れた『越乃雪』を届ける。効果はてきめんだったと稲川さんは書いている。こうした方策も 億二郎の献策である。力を優先した継之助に対比するかのように、億二郎の立ち姿には陰影 がある。『越乃雪』には、それだけの知名度と、人の心を和ませる魅力があった▼今「地産地 消」(地元の品を地元で消費)という。地元の名品を見直し、大いに消費しようとの動きである。 さらに「地産他消」(地元以外でも広く消費)を指摘する声も強い。『越乃雪』は当時から「地産 他消」だった。おかげで、戊辰戦争後の長岡はずいぶん救われたようである。(とけいそう)
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