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鉄鋼メーカーの北越メタル梶i蔵王3)は5月23日、取締役会で筆頭株主のトピー工業梶i東
京都品川区・鉄鋼・輸送用機器メーカー)からの取締役選任を求める株主提案に反対の決議 をしたと発表した。6月21日の定時株主総会では、取締役5人の再任を求める会社提案を出 す。
中期経営計画の達成へ取締役の再任を目指す
北越メタルは、2030年までの長期ビジョン「Metal Vision 2030〈絆〉」を策定しており、現
在は24年までの中期経営計画に取り組んでいる。長期ビジョンでは10年後の自社の姿として、 「環境に優しい地域循環型社会の構築に貢献」「災害に強い国土強靭化への貢献」「土木や建 築現場の労働力枯渇問題の解決へのソリューションの提供」ができる企業を掲げている。
取締役は棚橋章社長と武仲康剛専務の社内取締役2人、社外取締役3人の5人で、任期は
6月の株主総会までとなっている。中期経営計画の途上であり円滑な推進のために、指名・報 酬委員会への諮問を経て5人の取締役の再任は内定していた。
これに対して、グループ全体で北越メタル株式の35%超を保有するトピー工業鰍ヘ4月、「現
経営陣は協力体制を軽視している」とし、棚橋社長と社外取締役の1人以外の3人の再任に 反対した。そしてトピー工業の専務ら3人を後任候補とする株主提案を出した。
筆頭株主の提案に取締役会で反対
23日の取締役会では、株主提案に4人が反対し、伊藤忠商事出身の社外取締役1人が棄権
した。同日、会見を開いた棚橋社長は「事業構造改革の達成には現体制の解体は適切ではな い。長期ビジョンの実現が企業価値を向上させ、全ての株主やステークホルダーの共同利益 の向上につながる」と説明した。
同社では棚橋社長自身や武中専務もふくめて、歴代社長や幹部の多くをトビー工業鰹o身
者で占めている。棚橋社長は「急速に事業環境が変化する中で、プロパー従業員から経営人 材を出す必要性が高まっている」と状況の変化があるとし「株主提案の候補者を取締役とすれ ば、プロパー従業員の活躍の場を奪い、モチベーションを低下させかねない」と指摘した。
昨年2月には、トピー工業鰍フ執行役員を北越メタル取締役にとの要請があったが、「2年
後には(トピー工業に)戻すとのことで、当社の利益が考慮されたものではない」と断っている。 今回の株主提案は、その際の報復の意味もあると主張する。
トピー工業は現経営陣を強く批判
一方、トピー工業は27日、株主提案の経緯などを説明する文書を公表した。北越メタルが経
営課題を克服し、企業価値の向上を実現するためには、トピー工業の知見やノウハウといった 経営資源の活用が効率的で不可欠とする。昨年に起きた従業員の死亡事故や設備の重大な トラブルでは、再発防止対策が遅れているとも指摘する。
昨春には、保有する北越メタルの株式を売却し、資本関係を見直すことを求められたという。
加えて、北越メタルでは社内規程を改訂し役員の定年時期を延長するなどしており、「自己保 身を企図していることが強く疑われ、会社が私物化されることを危惧する」と批判している。
両者は、株主総会に向けて委任状を巡る動きが活発化している。
トピー工業活ネ外の大株主は伊藤忠メタルズ、第四北越銀行、伊藤忠丸紅鉄鋼、損害保険ジ
ャパンなどとなっている。
北越メタル概要
北越メタル鰍ヘ、1942年に北越水力電気の化学工業部門を継承し、北越電化工業として
創業した。当初はカーバイドや電気銑鉄などの製造を行っていたが、1959年に電気炉を新 設して以来、鉄鋼部門の比重を増やし業績を拡大した。
1961年にトピー工業のグループ企業となり、64年に東邦製鋼、新潟製鋼所と合併。社名を現
在の北越メタルとした。
同社は鉄鋼メーカーの中でも、鉄スクラップを原料として電気炉で鉄鋼を生産する電気炉メ
ーカーである。製鋼から圧延まで一貫して行っており、主力製品は異形棒鋼(表面に突起を設 けた棒状の鋼材)。棒鋼・線材・形鋼を三本柱とし、さまざまな種類の製品を市場に提供してい る。
詳しくは星野まで。(0258−32−1933) (naganews@crest.ocn.ne.jp)
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