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池田記念美術館で橋本照崇写真展
瞽女と共に歩んだ写真

 越後三山を見渡す大自然、八色の森公園内に建つ池田記念美術館(南魚沼市浦佐・高橋
良一館長)で5月21日から7月10日まで、「橋本照崇写真展 越後の瞽女(ごぜ)」が開催され
ている。写真家の橋本さんが瞽女に密着し、喜びや哀愁を記録した写真である。同展からは
越後瞽女が歩いた息遣い、生活感が生々しく感じられる。
展示作品は合計230点余り。長岡瞽女が114点、高田瞽女が21点、その他、はぐれ瞽女や
九州瞽女こんかいさんなど。全てアートスペースシモダ(板橋区成増1・下田賢司代表)所蔵作
品でその特別協力により実現した。

「ついてくるな」と突っぱねられてもついて行った

撮影者の橋本さんは6月18日、越後瞽女について解説(ギャラリートーク)。およそ40人の来館
者は橋本さんの話を聞きながら展示会場を巡り、トークの途中には瞽女唄が3曲も4曲も飛び
出すほどの熱の入ったギャラリートークになった。
橋本さんは1939年宮城県石巻市生まれ。63年日本大学芸術学部写真学科卒業。69年暮れ
から74年にかけて長岡瞽女・高田瞽女に同行して撮影してきたという。当時の作品は写真集
『瞽女』にまとめた。同写真集は日本写真協会新人賞に輝き橋本さんの出世作になった。
瞽女に「写真を撮らせてくれ」というと、「オラ見えないっけ撮っても見らんね」と断られた。ただ
撮るだけじゃ自分の性分に合わないから「同行させてくれ」と言っても「ついてくるな」と突っぱね
られた。それでもついて行った。
瞽女は訪れた民家の玄関先で「ごめなんしょ」と声をかけ、門付けを唄う。返事がないと瞽女は
留守だとして、次へ行くことになる。せっかくの門付け歌も無駄になる。
だが自分が家の周りを見ると裏で畑仕事をしていることがよくあった。「瞽女んぼさん来たか
ら」と周りに触れて歩くと玄関に出てきてくれる。米やお金を持ってきてくれる。
「私と歩くと百発百中。必ず成功する」と瞽女さんらから感謝され、「今度いつ来るんだ」と聞か
れるようになった。それからは「こんひとは今度からオラたちの男手引きだすけ、よろしくな。最
後の旅だから写真撮ってもらっている」と紹介してくれるようになったという。
(注)手引き=瞽女が旅する時先頭に立つ。多少目が効く瞽女がつとめた。

残して行くものをしっかりと伝えて行きたい

会場には撮りためた写真のネガを日付ごとに整理したスクラップや使用していたカメラや旅日
記が展示されており、興味を誘う。
夫婦で会場を訪れていた山路和広さん(褐テ書サンエー・東京都渋谷区)は「写真集だけ見て
いてもイメージしづらいが話を聞くと一緒に旅をしている気持ちになれた。ヴィンテージ写真なら
ではの風合いがある」と興奮気味。そして、「古書を扱っていますが、瞽女の大切さはアート写
真とフォークロア(民族・民間伝承・民俗学)の両方を備えていることだと思います。ちゃぶだ
い、団らん、小さい子などは失われた風景だと思います」と感想を述べ、「出版界も伝えて行く
もの、残すものと古書を選び分けています。残して行くものをしっかりと伝えて行きたい」と言葉
を添えた。奥さんの章代さんも「資料の記録は哀愁だけではない記憶ともシンクロできる特別
な空間でした」と話していた。
2度目の来館という井上正治さん(67・九州福岡県筑後市)は「九州にもこんかいさんという瞽
女さんがいるという話を聞きました。九州の瞽女さんは目が開いていたのでびっくりしました。こ
のあたりの話は郷土資料にも載っていないので記録がありません。橋本先生がいらっしゃると
聞いていくつか質問したいと思いやってきました」と熱心に話を聞いていた。

取材記録も瞽女の記録として貴重なもの

橋本さんは旅の友をして瞽女の生き様を見てきた。詳細な旅のメモ(日記)を残している。各地
を巡った写真の数々は、越後やそこに暮らした人の生活風土が映し出されており、郷愁を誘
う。橋本さん自身が暗室で昔ながらの現像によった作品は全てモノクロームで、独特のノスタ
ルジックな世界が広がっている。それらの写真のキャプションにはヴィンテージと記しており、
「ヴィンテージ写真は、同じ黒色でも深みが違う。以前よりもっと深みが増して鮮やかになって
きていることに驚きます」と橋本さんはその魅力を語っている。
開催に特別協力をしたアートスペースシモダの下田賢司代表は「この美術館はロケーションも
最高で素晴らしいところ。まだまだ幾つか現代美術家の作品展など考えています。皆さん、私
も含めて高齢になってきています。元気なうちにやりたい」と意欲をみせていた。
同美術館はベースボール・マガジン社および恒文社を創設した池田恒雄コレクション約3500
点を基礎ベースに1998年10月に開館した。建物は南魚沼市が建設し、公益財団法人池田
記念スポーツ文化財団が運営している。館長の高橋良一さんは「時代を記録する写真を見て
いただくと、後ろにある風景が今どこにもない。見たくても観られない貴重な懐かしいものだ、と
わかります。瞽女さんがいた最後の時代を橋本さんは取材記録として詳細なものを残してい
る。(当館で)全部活字に起こしてあり、瞽女の記録としても大変貴重なものです」と話してい
る。


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