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『雪囲い』

あちこちで雪囲いが始まっている。これから春まで庭木は囲いの中。咲き出したサザンカも囲
いから顔をのぞかせるだけ。せっかくの花を楽しめない。作家司馬遼太郎は『峠』の冒頭で「毎
年のことだ」と、継之助に語らせ、「雪国は、損だ」と語っている▼作家の言葉の通り、冬の準
備は雪国の変らぬ風景であるが、それにより何かを生み出すわけではない。だから「北国では
町中こうまで働いても、たかだか雪をよけるだけ」「それによって一文の得にもならない」との作
家の言葉は切実に聞こえる▼消雪パイプの点検も始まっている。総延長は約1000`b。こ
のうち長岡市有は約400`b、民間も約400`bあるという。このほか国と県の管理もある
から、全部を点検整備するのは大仕事だ。それでも冬を乗り切るために、準備に精をだす。今
が盛りの紅葉なのに、今度の休みは雪囲いだ▼旧中里村(現十日町市)が雪に負けずに頑張
ろうとして「雪国はつらつ条例」を制定した。その意気や良し、豪雪地帯が「克雪」をはかり、
「利雪」にチャレンジしたのだ。話題になって教科書にも載った。だがナントしたことか、教科書
には「雪国はつらいよ条例」と載ったと言う。これでは雪国の心意気は台無しだ▼今年の雪の
具合はどうだろう。豪雪、それとも小雪。気がかりではあるが準備に精を出す季節になった。
(とけいそう)



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『ウクライナ』2023.3.30
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