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東京電力柏崎刈羽原子力発電所でまた驚くべきことが発覚した。工事の未完了である。今
度はなんと72カ所という。これで本当に大丈夫なのか。不安と困惑が広がっている。
同社では「社内の担当部署の間で工事が必要になったことが共有できていなかったのが原
因」とし6月10日、柏崎刈羽原子力発電所ビジターハウスで記者会見を行って新潟本社代表 橘田昌哉本部長が陳謝。「地域の皆さまに新たなご不安を与え、改めておわび申し上げる」と し、「発電所を生まれ変わらせるつもりで、発電所の安全性や業務品質の向上に向け、取り組 んでまいります」と表明した。
事案は、7号機で終わったと公表された安全対策工事が未完了だったことに始まる。この発
覚からも引き続き、空調設備、火災感知器設置、配管床貫通部の止水工事、配管壁貫通部、 火災防護工事などで同様の未完了工事が判明した。このため、原子力規制委員会は立ち入 り検査を実施。その結果さらに、セキュリティ設備が故障しているのに、これを放置していた個 所が16カ所も発覚。これでは再稼動は無理である。同社では2021年6月の再稼動について は延期し鋭意、再点検を重ねてきた。
5月21日には、県内全市町村で構成する「市町村による原子力安全対策に関する研究会」
(代表幹事=磯田達伸長岡市長、事務局=長岡市原子力安全対策室)は、オンラインで内閣 府と原子力規制庁へ、さらに5月26日には県へ直接3市長が要望を行った。
工事未完了を完了としたことは問題である。さらに問題なことは、IDカードの不正使用に象徴さ
れる安全面への対応である。不正使用で警報機が発報したのに、カードデータの書き換えまで して不正使用者の入域を許可した。これでは原子炉の安全は確保できない。さらに2015年8 月21日発生の別のIDカード不正使用も判明した。このケースでも警報機が発報したのに警備 員が不正使用者の入域を許可している。しかも同社はこの事態を6年間、秘匿してきた。これ では当事者能力を欠いているとしか思えない。
今回そうしたなかでの72カ所もの未完了個所の発覚である。同社では同日、「核物質防護に
関する独立検証委員会」の初会合を東京都内で開催しているが、こうした組織体質では実効 性のある核セキュリティが確保できるのか、懸念の声は大きい。
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