長岡新聞・悠久録No.1171:「出羽・上山藩の米百俵」

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悠久録(過去の悠久録はこちら)
長岡新聞・中吊り広告

「酒は百薬の長」という。あるいは「土用丑の日にはウナギ」という。いずれも、ある知恵者が考
え付いたと伝わる。百薬の長であれば、酒の売れ行きは伸びるだろう。夏バテに効くなら、ウ
ナギを食する人は多くなろう。いずれも売り上げには貢献するはずだ▼広告で知名度や好感
度を上げることができるならば、これに越したことはない。おかげで、街中に立看板が溢れ、バ
スは車体を広告で埋めて走っている。活字メディア、テレビなどの映像やラジオでも広告は多
く、番組の途中に入ると戸惑うことも少なくない。それでも見事なコマーシャルは目を引きつけ
る▼だが目立つだけに、顰蹙(ひんしゅく)を買うこともある。大阪の電鉄会社が電車の中吊り
広告に、「毎月50万円もらって毎日生きがいのない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くの
が楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか」「私たちの目的は、お金を集めることじ
ゃない。地球上で、いちばんたくさんのありがとうを集めることだ」などと出した▼これに「時代
にそぐわない」「不愉快だ」「私の給料はそんなに高くない」などのクレームが集まった。ついに
電鉄会社はこの広告を撤回したという。労働系の某弁護士は、「多くの労働者の収入は30万
円に届かない」と批判して、「ありがとうを集める」も「労働者を搾取する思想」と手厳しい▼給
料よりもやりがいと訴えることは、共感よりも反発を招いたようだ。やはり給料は大切である。
スマホやSNSのおかげで、消費者の声は大きくなった。(とけいそう)


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